景気が悪くなると、企業の採用人数が減って転職も厳しいでしょうか?

転職活動するか
迷っている28歳

新型コロナウイルス感染症の影響で
景気が悪くなると、
会社の業績が悪化して求人募集しなくなる
のではないか、と心配です。
転職するのも厳しいでしょうか?

佐藤さおり

新型コロナの影響は確かに受けるでしょう。
ただし、景気後退の局面には、
すでに2018年10月前後から入っている可能性が
高いです。

新卒より既卒・第二新卒を多く採用してきた会社
の場合、若手~リーダー層(20代後半~35歳前後)
にはニーズがあり、企業側の中途採用の意欲も
あります。応募~採用の可能性は開けますよ。

日本経済がすでに景気後退局面に入っている可能性は高い
~2018年10月以降~

新型コロナ感染拡大の影響で、
景気が悪化していって、先行き不透明と感じる方は多いことでしょう。

さて、そもそも直近では、景気後退の局面はいつから始まったのでしょうか?

新型コロナ感染拡大の影響としては、今年2020年の1月下旬ごろから、
特に3月にかけて、よくニュースに取り上げられました。

日々目にするニュースからの体感だと、中には、
年末年始前後の時期と思う方もいらっしゃるかもしれません。

景気には、次のような4つの局面とサイクルがあって、
数年~約10年単位で循環する、と言われています。

【景気循環】
①不況からの回復~②好況・景気拡大
⇒③景気後退⇒④不況へ

直近で観てみると、①不況からの回復~②好景気・景気拡大は、
「景気の谷(ピーク)」は2012年11月から。

⇒③景気後退が2018年10月からで
⇒④2019年3月~景気下げ止まりから、悪化に下方修正されています。

2018年10月前後が、景気の「山」とみなされており、日本経済が
すでに景気後退局面に入っている可能性は、かなり高いと言われています。


つまり、新型コロナ感染拡大より以前から、
すでに景気は悪くなってきている、というわけです。

https://toyokeizai.net/articles/-/270011

「日本はすでに景気後退局面に入っている
『アベノミクスで戦後最長景気』は不発に」
末廣徹(みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト)
『東洋経済オンライン:若者のための経済学』2019/03/08

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57514960R00C20A4000000/

「景気後退って、どうやって決まるの?」
『日本経済新聞』2020/4/3

この状況を踏まえた上で、さらに新型コロナ感染拡大の対策として、
政府は、感染リスクを抑えるため、外出自粛を強く求めており、
消費者には、買い物を必要最小限にするよう推奨しています。

企業については、医療や福祉職や、生活必需品の供給サービス以外
に対して休業要請が出されていますから、営業活動・経営で
受けるダメージは甚大です。倒産に追い込まれるところも出てきています。

政府から休業~営業自粛の要請を受けた
合わせて、消費者による将来への不安が大きい
⇒モノが今までのようにはあまり売れない
⇒企業は減産傾向~休業に⇒儲からない
 ⇒仕事が減る・なくなる

こうなると、
 ⇒人手があまり要らなくなる・減らしていく
 ⇒採用を減らす⇒人員整理・リストラも、という流れが生まれます。

また、企業の業績は悪化し、利益が出にくいか赤字に
⇒③働き手のお給料・ボーナスは下がる・カット
 ⇒働き手は消費者として、購買意欲が下がり、買い控える

企業組織の経営では、こういった景気後退局面での
負のスパイラルに……。会社の業績が悪化すれば、
確かに採用に制限が出てくるのは間違いありません。

企業による中途採用への意欲と採用活動の傾向

こうしたわけで、不景気・不況になると、
求人数が減ることは確かにあります。

ただし、求人それ自体がゼロになるわけではありません。

とはいえ、メディアの報道では連日、リストラや倒産、
大手企業の新卒採用人数を減らした、などを取り上げることが多くなります。

それでは、ニュースではあまり見かけない、
中途採用の実際の傾向と企業の採用意欲はどうなるのでしょうか?


今回は次の3つについて、おおまかな傾向をご紹介しますね。

  • 既卒・第二新卒(学校卒業後、約3年目までの新人)
  • 若手社員・リーダークラス(20代後半~35歳前後)
  • 総務・経理など管理部門

▼既卒・第二新卒(学校卒業後、約3年目までの新人)

★新卒≦既卒・第二新卒をより多く採用してきた会社の場合、
 中途採用の意欲はままあり、応募~採用の可能性は開けています。

①新卒よりも、既卒・第二新卒中心で採用してきた会社
⇒採用人数・求人数は、横ばい~微減程度になります。

経験が少なくても、ひと通りビジネスマナーや仕事の基本スキルを
理解し、実践できる人は戦力になることから採用したい、
という企業のニーズがあります

なので、大幅に減る・激減とはなりにくいのです。

では、新卒中心の採用活動をしている会社だと、
採用人数・求人数はどうなるでしょうか?

②新卒中心の採用活動をしている会社では、
⇒既卒・第二新卒の求人数は減少します。

景気が悪くなると…
⇒モノ・サービスが売れない分、仕事もあまりない
⇒人手はあまり要らないので、新卒採用で人数は足りる
⇒それで、既卒・第二新卒で人員補充する必要がなくなるからです。

景気が良ければ、
⇒モノ・サービスが売れる分、仕事も多くある
⇒人手が要るが、新卒採用で人数を確保できないことがあると、
⇒中途採用で補充しようとするんですね。
⇒そうすると、既卒・第二新卒の求人は維持~増加する、というわけです。

▼若手~リーダー層(20代後半~35歳前後)

★変わらず一定のニーズがあると言えるので、
 応募~採用の可能性は開けています。

というのも、若手社員・リーダー層は、
即戦力となりうる一定のスキル・経験を積み重ねてきた層です。

組織内では、新人教育や後輩指導によりメンバーの成長を促したり、
中堅・ベテラン層からのノウハウ継承を担う役割を担当します。

この層を厚く、充実させると、人材の確保・育成そして組織の維持
・成長発展に役立ち、うまくいきやすいことから、

一定の採用ニーズがあるわけです。

ただし、新卒採用で人数が足りてしまえば、人員補充の枠で採用される人数は減りますね。
この点は、新卒採用メインの企業における既卒・第二新卒枠の求人減少と同様です。

▼総務・経理など管理部門

★不景気になると、人件費を削られるのは、
 それ自体として収益を生み出さない間接部門・管理部門となる
 傾向にあります

 また、採用人数・求人が減るのはもちろんのこと、
 募集があっても、残業・休日出勤などハードワークになる可能性
 が高まります

例えばどうなるかというと…

「10人中4人を採算がとれる部門に異動させて、
(例:総務⇒営業事務など)
 残った6人で引き続き従来の業務を分担」

「3人退職しても、採用するのは中途1人ダケとする」
といった具合に。

人手が減る中で、仕事はこなすべき案件が一定数あるという状況になります。
人手不足の状態なので、ハードワークになるわけです。

もし転職する場合は、
自分がハードワークでもどの程度までならOKなのか
 どの程度からはNGなのか、をしっかり自覚しておくこと、

そして、

②こうした業務の状況・環境を「辛い」「ピンチ」と見るか
 むしろ仕事の幅が広がり経験値を上げる「チャンス」と捉えるか
 によって、入社・入職後の満足度や、成長・活躍できるかが決まってきます。

▼景気に左右されず今後も生き残る可能性があるのはどんな人材?

企業は、会社の業績(売上・利益)に直結する部門、
例えば直接的に利益を生む営業・販売や、それに準ずる企画・開発
などの部門については、不景気で人件費を削りたい時でも
確保しようとする傾向にあります。

ただし、新型コロナの影響で、すでに経済損失は甚大で、
上場企業も業績の見通しを下方修正しています。消費の冷え込みに
資金繰りも苦しくなる状況が続けば、企業の経営混乱と業績の悪化
は悪化の一途をたどることになります。

そうすると、大企業でもボーナス削減や、人員整理・リストラを
断行したり、倒産するところも出てくる可能性は否めません。
経営体力がない中小企業はなおのこと、そうです。

ただし、成長産業の場合は、
人材不足が常であり、採用意欲も高い傾向にあります。

また、経営体力のある中小企業なら、
大企業のリストラによる退職者の流出を、
むしろいい人材を採用できるチャンス、と見るので採用意欲も高いですね。

その他、コストダウンに貢献できる人材や、
1人で高い専門的なスキルを複数身につけた人材


そしてニーズが高まっているがまだ専門家があまりいない業務
をこなせる人材
などは、今後も景気に左右されず生き残っていく可能性があります

▼まとめ

いかがでしたか?

今日は「景気が悪くなると、企業の採用人数が減って転職も厳しい
でしょうか?」
をご紹介しました。

社会的な状況を見据えながら、
改めて自分はホントに、そしてどの程度転職したいのか?

転職するとした場合、
どんな仕事を、どういう職場でできたら
力を発揮して自分らしく輝けるのか?

改めてじっくりしっかり考えてみてください。

不況の時、転職するのが厳しい状況で選考を通過・採用に至る
大事なポイントは、備えてしっかり準備をすること

①市場価値を高めて②書類選考や面接で高い競争率の中でも
着実に一歩先行く対策をとり、実践する
こと。
その上で③迷ったら、応募することです。

今回のポイントを踏まえて、
ご自身が一歩前に進むヒントをつかんだら、
さっそく今日から取り組んでみてください。

それでは、また。佐藤さおりがお届けいたしました。


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