友達・後輩の音信不通からの学び:人を支えるには力が要る・力をつける大切さ
【困っている人を支えるには、それだけの力が要ります。】
そのことを痛感したのは、
プライベートで学生時代の友達・後輩に頼まれて相談に乗る時のことです。
心臓の病気を抱えながら通学、卒業を控えた最終学年でした。
しかし、症状が重く、進路選択が八方塞がりに。
目標だった家業を継ぐのも、治療に専念するのも厳しい。
苦渋の選択を迫られている局面でした。
その話を聞いて、わたしがしたこと。それは質問やアドバイスに終始したことでした。
理解不十分なまま「どう解決したらいいのか」焦って、
十分には力になれなかった。
話を受けとめ、その人の気持ちと意思を尊重する力が
欠けてしまっていました。
その友達は大学に来なくなり中退、他の人たちとも音信不通に。
おそらくは病状が悪化したか、少なくとも大学では理解が得られなかったのかもしれません(事実はもはや知りえませんが)。
◆
その後、「そもそもあの時友達は何て言っていたんだっけ、
ホントは何を訴えてた?」と思い返すことに。
「『大学を辞めたい』なんて言ってなかった…!言ってたのは
『辞めようかどうしようかと思ってるんです』だった。
ってことは、考えられる可能性を模索したい、複数の選択肢を
整理して決めたいってことだったんだ…!」
そう気づいて、しっかり話してくれていたのに、
その思いを汲み取れていなかったことに愕然としました。
◆
【相手が】話していたこと・伝えたかった気持ちや意思に集中
することが、何よりも大事なことなんだ、と痛感しました。
人に自分の言葉で伝えたいことを伝えることができた。
それを人に理解してもらえた。
たとえすごく困難な時でも、自分の力で納得した選択をしたい・
できた。人に尊重してもらえた。
そうした体験は、病気であればこそ、人が前を向いて
自分らしく生きる・進んでいくための力になるものです。
◆
その時のわたしは、相手が伝えたかった気持ちと意思よりも、
自分がどんなアドバイスで解決したらいいかばかりで、
頭がいっぱいでした。
後から気づいたそのことに、
「何てことをしてしまったんだ、取り返しがつかない…」
悔やんでも悔やみきれませんでした。
◆
しばらくすると、ホントはどうなっていたらよかったのか?
改めて考えるようになりました。
「ホントはもっと病気で思い通りにならない事情を抱えた上
での思いをちゃんと汲み取って理解したかった。
本人が納得して選べるように、力になりたかった…」
音信不通だから、生きているか亡くなくなっているか、
分かりません。
もし生きていて会えるなら、今度は話を受けとめて寄り添える人でありたい。
もし生きていて会えなくても、友達に似たような境遇の人の力になりたい。
もし亡くなっていても。難しい事情や制約、人と分かり合えない
ストレスを抱えている人が、その人らしく生きて、
仕事・働き方・生き方を納得して選択できるよう、役に立ちたい。
そういうことができる力をつけたい。
友達が身をもって教えてくれたことを、ムダにしたくない。
今とこれからに活かしたい。
◆
そうして傾聴トレーニングを受けるため、心理カウンセラー・
鈴木雅幸さんにスーパーバイザーをお願いすることにしました。
トレーニングを始めたのはいいのですが、最初からそう
一朝一夕に、人の話を聞ける・相談に対応できるようには
ならないもの。
「どうやったら人を支える力が身につくのかな…道のりは遠いなあ」と思うこともしばしば。
何とか根気強く進めていく時に、鈴木さんが話されていた次のメッセージが響きました。
「人に寄り添うためには寄り添えるだけの力が要る
(専門性、スキル、経験値、姿勢など)。
寄り添いたいという思いだけでは、寄り添えない」
◆
最初はグサッと刺さったんです(笑)痛い失敗をした身には、
なかなかキツイものだったから^^;
けれど、その経験した事実から出発するより他ありません。
「話を聞く・理解する・相談に対応するには、今は力不足。
力がないなら、つければいい。こういう自分でやっていくしか
ない。今ここからスタートするしかないよね。」
着実に身につけるためにはプロセスと時間がかかるもの。
そう思って、トレーニングを少しずつ積み重ねてきています。
◆
今年は、あの失敗から17年、トレーニングは気づいたら8年目に入りました。
この経験から、
人と触れ合い理解し合う、分かち合うことをあきらめたくない
新人・若手社員さんたちに向けて、
自分らしくその人らしく輝き、職場で伸びのびイキイキ
成長・活躍できるよう、メンタル面~就職転職・ライフキャリアの両輪でサポートする仕事をしています。
中には若手リーダーとして、新人後輩~部下を支える・
成長活躍を促すのに試行錯誤している方もおられるでしょう。
あるいは、看護師・介護士、言語聴覚士・理学療法士、栄養士や、教員・保育士の方の場合。
病気やケガ、障害あるいは気質・特性など、それぞれの事情や
制約を抱えた方向けに、その人がやりたい・できる・大切にしたい
ことに向き合う時、支援を工夫されている方もいることと思います。
これから、対人援助のお仕事をしている方が、人の生きる・働く
・成長するのを促し支える際にもお役にも立てるよう、
さらに専門性やスキルを磨いていきます。
◆
この時の失敗と後悔から立ち直っていく経験をしたからこそ、
今の自分があるんだな、と改めて思います。感謝しかない。
身をもって教えてくれたことをムダにせず、1歩でも2歩でも
次につなげていきます。
なお、この友達は、今も消息不明です。
もし生きていれば、ご自身の正直な気持ちと意思を大切に、
自分らしく生きていますように。
あるいはもし、亡くなっているなら、心臓や心の痛みから
解放されて、安らかでありますように。
◆
この記事を読んでいる読者の方たちにも、自分が大切にしたい人
がいることと思います(仕事仲間、ご家族、お友達、趣味で出会った方など)。
わたしのこの話を聞いた方たちからは、
「自分も、友達/新人/部下がこれから仕事を辞めようかなと
いう話を聞いた時、その人に寄り添えていなかった。似たような経験してます…」
「ホントは力になりたかったのに…イザという時
分かり合えないのは申し訳ない気持ちでいっぱいになりますよね。」
「微力でもその人の理解者になって、支えられるだけの力を
しっかり身につけておくのは大事なことんですね。
せめて無力ではないようにしたい、自分もそう思います。」
こんなふうにお話を伺うことがあります。
◆
あなた自身は、自分が大切にしたいその人と、
誤解やすれ違いで困った時ありませんか?
話を聞く・相談に乗る時に、分かり合えているでしょうか?
この記事が、大切にしたい人間関係やコミュニケーションを
振り返り、どうありたいかを考える時、ヒントの1つとして
お役に立てるとうれしいです。
それでは、また。佐藤さおりでした。
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